2019年5月21日火曜日

電流帰還DCアンプをつくる 2

前回までのあらすじ↓

電流帰還DCアンプをつくる 1

その後発注した基板が某国から届いた。


基板が届いた


出来上がりはこんな感じですね。
今回はelecrowを使ったけれど、安かろうでクオリティはまちまちです。
レジストが緑のときは比較的安定してますが青や他の色のときは品質のバラつきがあります。






さて、パーツを実装していく訳ですが途中で最大のミスに気づく。

出力段トランジスタのパターンを上下逆に書いてしまっている……。

このミスが痛かった。通常国産Trの足配置は正面左からECB(えくぼ)という並びだが、パワートランジスタに関してはBCEなのだ。いや、CADの設定は間違いなくBCEにしていた。ではなぜ間違ったのか? 実際にパターンを引く際に、フットプリントを上下逆にした位置で作業を始めてしまったのが原因だった。次からちゃんと確認しようと思った。


アンプ基板。ひどいリカバリー


幸いコレクタが真ん中なのでベースとエミッタを生えだし配線で無理やり逆に配線することでなんとかリカバリーした。

気を取り直してケースに基板と電源を組み込んでいく。


ケースに組み込んだ状態


ケースはスタジオで使うという利便性も考えて2Uサイズのケースに入れてみた。
だいぶアンプらしくなってきた。

ちなみに思い立ってから実際にアンプを組み上げるまで、1年くらい掛かってます。
最近のことのように書いてますが、基板作ったのが去年で実は10ヶ月くらい前です。

実際の作業の合計時間は1週間ちょっとくらいです。
仕事がいっぱいっぱいで自分の時間なかったからね……。

・ ・ ・

今回は試作ぶっつけで作るということもあり、電源はトランスではなくETAのスイッチング電源ユニットを使った。これも某パーツショップで格安で手に入ったというのもあるが、スイッチング電源には保護回路が内蔵されているので、もしアンプが暴走状態になっても一定以上電流が流れないようになっている。いきなり大電流を流すリスクを配慮しての選択となった。なおユニット自体は24V/2.5Aのもので、電流は正負合わせて合計5A。小型パワーアンプに供給する容量は十分にある。

そしてアンプ基板に供給する手前で電源デカップリングの電解コンデンサを15,000uF入れてみた。個人的には4,700uF*2個 程度で十分と思っているが、これまた大容量のニチコンKW(オーディオ向け汎用品)が安かったので投入。KWシリーズは、容量/耐圧に対してサイズも小さくコスパがいい。電源インピーダンスを下げるためにwimaのフィルムコンデンサ(0.1uF)もパラっておく。

ちなみにバックパネルのXLRコネクタの穴は、設計当初バランス入力も付けようとしていたのでとりあえず空けたものだが、切り替えリレーを付けるのが面倒になってやめた。フロントのトグルスイッチもその名残だ。そしてプリアンプやコントローラーから直接つなぐので、入力ボリュームも付けなかった。つまり、音質に悪影響を及ぼすものは限りなく取り去った。DCアンプにした恩恵が最大限になることを祈る。


外観はこんな感じに


仮組みをしたので測定用の負荷として8Ωのメタルクラッド抵抗をつけ、電源投入!
…とくに煙が出ることもなく。そのまま動作確認に入る。

RV2(前回の回路図参照)の可変抵抗で出力のアイドリングまず調整する。ひとまず+-110mAくらいにしてみた。このアイドリング量だと、ケース底面に放熱した熱はやや暖かくなる程度だ。

アイドリング調整が終わってからRV1でDCオフセットを0mAにし、再度アイドリングを調整する。そうすると微妙にDCオフセットも揺れ動くので、DC調整とアイドリング調整を交互に繰り返し、誤差が最小になったら調整完了だ。

問題はアンプとしてうまく動いているかどうかだ。
1kHzのサイン波を入力し、オシロスコープで出力を見ると……綺麗なサイン波が見えた。

高周波数でも発振は確認できない。問題なく動作している!

テスト用の4Ωスピーカー(ダ○ソーで300円)につないで音も軽く聴いてみたが、しっかりとドライブできているようだ。インピーダンスが8ΩのMark AudioのAlpairでも問題ないとみていいと思う。あとはスピーカーの完成を待つのみだ。エンクロージャーの到着が待ち遠しい!


ちなみに基板はあと数ペアー残っているので今回試せなかった

・出力段の石をMOS-FETや他のトランジスタに変えて音色の違いを比較
・電源をトロイダルトランスのリニア電源にして比較

などはいずれ2号機を作りチェックする予定です。

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