2019年5月17日金曜日

モニタースピーカー自作への道 1

Mark Audio Alpair10P


モニタースピーカーを自作しようと思っている。
という話は少し前のブログでちょっと書いた。

きっかけは、Mark AudioのフルレンジユニットAlpair10佐藤邸で聴いたことでしたが、そもそも既成品ではなぜダメか、既成品の問題点は何かということころから考えてみる。まあ、冷静に考えてプロダクトとして完成されているものを買ったほうが対費用効果が良いですからね。それから何が欲しいか分析してみよう。





個人的に感じているモニター用アクティブ・スピーカーの問題点は以下のようなことだ。


・スピーカー内蔵アンプユニットのパワー不足/単純な音質の悪さ

・スピーカーユニット単体での性能の低さ

・デザイン重視のプロダクトが多く、機能美を追求できていない


これについては個々に解説してみよう。


スピーカー内蔵アンプユニットのパワー不足/単純な音質の悪さ


これはニアフィールドのアクティブスピーカーの宿命といってもいい部分で、アクティブにするということは必然的にエンクロージャーの中にアンプユニットも同梱しなくてはならなくなる。しかも限られたスペースでアンプ基板も収めるとなると電源も含めてかなり小さく設計しなければならない。となると必然的に低コストなパワーICと小型スイッチング電源(もしくは小型トランス)を組み合わせたようなものが主流になる。スピーカーユニットへのドライブ力、オーディオ的な音質も含めてどうやっても単体のパワーアンプのドライブ力には劣る。

理想を言うのならば、スピーカーそのものはパッシブ構造として、専用のパワーアンプを使ってスピーカーを鳴らすのが望ましい。ただメーカー品でそれを前提に製品を作ってしまうと、組み合わせるパワーアンプによって音はもちろん挙動そのものが変わってしまう。そういった理由から量産製品では出荷時点ですべての音が統制下にあるアクティブが殆どという訳だ。(パッシブスピーカーがフラッグシップモデルのメーカーは、そもそも組み合わせる純正のパワーアンプをセットにしている場合が多いです)


スピーカーユニット単体での性能の低さ


まずスピーカーユニットには単体で出せる帯域の上限と下限がある。ウーファーならば低域、ツイーターならば高域に特性が伸びれば伸びるほど良好だが、一般的な2wayで使う前提となると各ユニットごとの弱点は特性をクロスさせることである程度はごまかせるので、各ユニットがクロスオーバーする帯域外の性能は無視されてしまうことが多い。

例えば50Hz〜20kHzまでのレンジが出るのがウリなスピーカーがあるとして、実際はそこそこの性能のウーファーをバスレフで無理やり低域を膨らまし、高域を補うために高域だけ特性の良いツイーターを組み合わせてそれっぽく見せかけの再生帯域を広げているものがほとんどだ。安直に作られた2wayスピーカーはそういった元々の特性やレスポンスが違う2個のユニットを組み合わせたスピーカーなのでクロスオーバーポイントを境に上下の音の繋がりが不自然になる。特にレンジは広いのに、音の解像度やダイナミックレンジがイマイチなものが非常に多い!

これは今まで愛用していたeve audioも例外ではない。eveも発想としてはリアバスレフで低域を伸ばし、リボンツイーターで超高域を補うという構造なので。(ADAMよりはかなり改善されているが)この不自然さを解消するとなると高性能フルレンジしかない。

またそもそもの問題としてDTM向けに販売されている5インチ以下の小口径スピーカーとなるとエンクロージャーの容積も小さいので、バスレフを使って低音が音程として再生できても、その元のスケール感で鳴らせるものはほぼ皆無と言っていい。(ピアノやコントラバスの低音を再現しようと思うとスピーカーの容積は1本あたり4〜50Lは必要になってくるのでブックシェルフ型では無理があるが…)結果的にダイナミクス(ダイナミック・レンジではない)の表現が平べったくなる。

つまりまとめると、理想としてはフルレンジ1発で鳴らして、エンクロージャーの補正なしでも上から下まで鳴らしきれるようなユニットを使うのがいい。仮にそれで高域がまだ足りないというならばネットワークを組んでツイーターを足せばいい。そんなユニットこの世の中に存在するのか…? いや、存在していた。それがMark AudioのフルレンジユニットAlpairだ!


デザイン重視のプロダクトが多く、機能美を追求できていない


これに関しては↑の2つで半分以上説明しているので割愛。デザイン重視のスピーカーが多く、ユニットの大きさや求められる性能に対してまずエンクロージャーの容積が少なすぎる。見た目重視の箱となると音に対してアドバンテージのある設計にはしにくい。小さいスペースに無理やりアンプユニットも入れなくてはいけない。売れるためのジレンマである。

・ ・ ・

ちなみに、上の3点を全部克服しているアクティブスピーカーも実はある。Meyer SoundのHD-1というアクティブ・モニターの開祖とも言われているスピーカーだ。その代わりスピーカーが1本20kg以上と重量級&価格もべらぼうに高いので今の所導入する予定はないです。



じゃあ結局、どのようなスピーカーを作るのか?


以上をふまえて自分が欲しいスピーカーの条件はこんな感じになる。

・フルレンジのパッシブスピーカー
・40hHから20kHzくらいまでまっすぐ出る特性
・エンクロージャーはブックシェルフ型


もちろん高性能なフルレンジユニットを使う。これは決定的というか前提条件で、もちろんユニットはAlpair10だ。Alpair10は13cm級ユニットだが、Fo(ユニット単体での最低振動周波数)が38Hzまで伸びており、エンクロージャーがダブルバスレフなどではなくても十分に低域の再生が期待できる。またコイル・ストロークの可動域が非常に長く、これによってダイナミクスを自然に再生できる要因になっている模様。

ちなみにMark Audioには更に大きな16cmユニットのAlpair12もラインナップにはあるが、これよりユニットが大きくなると必要容積の関係上ブックシェルフで設計するのが難しくなるのと、実際に音をまだ聴いたことがないので今回は見送った。今回は飽くまでブックシェルフで作るモニタースピーカーだ。

Alpair10のスペックシートや他の人の製作例を見てみるとエンクロージャーの容積は10L程度でも十分鳴るようだが、音のスケール感を削がずにと考えれば余裕をもって15L弱くらいは欲しい。モニター用としては大きいサイズになるが、20*40*25cmくらいのサイズになると思う。ダクトによる共鳴周波数はFoより少し高い45Hzくらいにして最低域のレベルをうまく補正する。

またユニットもそこそこの重量があるのでバッフル材は適度に固く、弾性もある木材が好ましい。一般的にはMDFや集成材が自作では使われるが、集成材特有のコンプ感が気になるのでバッフルだけ一枚板にしたい。あとは実際に組んでみないとわからないが定在波や後方反射を考えて、バッフル面と背面が完全な平行にならないような工夫も施したい。

…と色々考えているうちに、ユニットは用意したものの、エンクロージャーの加工や製作は素人ができるレベルではない感じになってきたので。信頼できそうな人に頼んでみることにした。

(つづく)

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