2018年3月9日金曜日

Manley Reference Cardioid Microphone



実は結構前から持っていて、買ったのは2年くらい前。
仕事場としてスタジオを作ったのでやっと出番ができました。

とにかく歌を良い音で録りたいという気持ちがずっと前からあって、この1本!というマイクを長いこと探していました。これまでは録音のたびにスタジオに行っていて、そのスタジオの常設されているマイクの中でとりあえず無難なものを選ぶというやり方。だからその度にマイクもHAも変わるものだから音も変わってしまっていて。悪くはないけど漠然としてました。一応オールドのU87も持っていたし、決して悪い音じゃなかったんだけれど自分が欲しい音かというとそうでもなかった訳で……。音ももっと立ち上がりが早くて臨場感のある音色が欲しかった。

以前オールドのU67で感動したことがあったので、やはりここはFETじゃなくて真空管マイクだろうと踏んでいました。そこから最初から真空管タイプだけ探すこと数ヶ月。でも中々ピンとくるものがなかなか見つからなくて、半端なものを買うくらいならオールドのマイクのほうが良いと思い始めた頃……そんな時にたくまるさんから「Manleyのマイクすごくいいよ!」と教えてもらいました。

Manleyといっても自分の中だとVOXVOXみたいなハイエンドのアウトボードのイメージでマイクの音を聴いたことがそもそも無く、国内のスタジオでも置いてあるところが全然ないし、情報も少ない。

とりあえず実機で聴いてみるのが早いと思い渋谷の某店で実際に試すことに。試聴のときはいわゆる現行のNeumannやオールド再現系の真空管マイクと同時に比較したんですが、なんというかこのマイクだけ格が違うと感じた。ハイファイなんだけれど太さも力強さも兼ね備えていて……それでいてハイがスムースなのでシビランスが痛くない。そして解像度も抜群。このマイクの音だけ輝いているようだった。そんな訳でその後数日で即購入。

決め手は「このマイクならオールドのマイクにも勝てる!」と直感で感じたところ。例えばU67なんかだと音量があってピークが入ると太さと同時に艶が出るような質感になるんだけれど、まさにそれに近いものがあった。それでいて解像度も抜群なので、口や喉、鼻のニュアンスもしっかり取りこぼさないで拾ってくれる感じ。(これは歌が上手くないと逆に怖い部分でもあります)真ん中に定位させるサウンドならばEQなしで軽くコンプをかける程度でしっかりと“売り物”の音になってくれます。

この音色のトータルバランスが本当に良くできている。実を言うと真空管タイプでもハイファイなだけでハイが尖ったままシビランスがきついような音になってしまうようなものが多くて、SoundeluxeのU99なんか特にそうだった。全然よくない。(HAのインピーダンスを目一杯落とせば丸くすることはできる)だけどこのマイクの音は星の輝きのようで滑らかさとスピード感を両方持ち合わせている感じ。女性ヴォーカルならコレだ!

まあ買った直後に色々あって長いことちゃんと使ってあげられなかったのだけれど、プライベートスタジオの録音環境も整ったことだしこれからは出番が増えていくんじゃないかと思います。


2023.2 追記)
現在はより好みのサウンドを追求した自作の真空管マイクを使うようになり、メインマイクかららお役御免となったのでこのマイクは手放している。今までありがとう。