2020年2月11日火曜日

Hipshot A Styleブリッジの問題点

楽器系の小ネタです。


普段自分が使う楽器はFenderタイプが殆どを占めているので、基本的にパーツ交換に関しては補修用のリプレイスメント以外は使わないのですが、今回は珍しくベース用のパーツについて触れてみようと思います。

今回はブリッジ。HipshotのA Style ブリッジの問題点についてです。





ご存知ではない方にA Styleブリッジの概要を説明すると、ドロップチューナーで有名なHipshotから発売されている何種類かあるベース用のブリッジのひとつです。

特徴としては、4弦から6弦以上まで様々な多弦楽器に対応しており、弦ピッチも16.5mmから20mmまで多く用意され、サドル単位でも微調整可能、ブリッジ素材もブラス、アルミとマテリアルを選択できるものでスペックの幅広さが売りのブリッジです。銘木系ベース(ハイエンドベース)などにも標準で採用されることが多く事実上フラッグシップといえます。

ただ大人気なこのブリッジ、サドル(駒)の構造を含めた機構に難があります。



A styleブリッジを後ろ側から見た時


このブリッジのサドルはネジ穴が切られた袋ナット構造になっているのが分かるでしょうか。

分かりやすく言えば、オクターブ調整用のネジがサドルを貫通していないということ。たとえばFenderやBADDASのような古典的なブリッジはサドルをネジが貫通しているので、ネジの長さに対してほぼ目一杯までサドルが前後できる可動範囲がありますね。


矢印の範囲しかネジを動かせない



ただこのブリッジはサドルをオクターブ調整用のネジ貫通していない構造なので、ネジの可動範囲はサドルに切られたネジ穴の深さが限界です。更に、弦ピッチ調整用の金属棒が横切っているので、ネジ穴の奥行きは数mmしかありません。つまり、オクターブチューニングの幅が超絶に狭い。よって楽器のセッティングによってはオクターブチューニングを合わせきれない…という事象が起きやすいのです。

ところが売る側(販売店・輸入代理店等)にこの話をすると痛いところを突かれるのか「うちで売っている楽器は問題なかったですよ〜」みたいな対応一辺倒だったりする。

楽器が製造時から全く状態が変わっていないと仮定するのならば、たしかに問題ないのかもしれない。ただ、楽器の状態(フレットの高さ・ネックの状態・弦高)というは常に変化する。弦の種類やゲージを変えたときはそれ以上の大きな状態変化が楽器に現れる。そういったときに、巻弦が基本のベースではオクターブピッチの調整幅をある程度確保しないと修正ができなくなる……というのは簡単に予測がつくと思います。

自分が以前所有していた楽器だと1弦側のサドルが限界まで下がってしまうことが多かった。特に1弦側 は標準ネジだとストロークが+-4mmないくらいなので一番合わなくなりやすいんですね。

ちなみにHipshot自身も一応この問題が念頭にあるのか、ブリッジ単体で購入するとオクターブ調整用のネジは長いものと短いもので2本セットで付属しています。とはいえ、根本的な解決にはなっていないはず。もしこの問題を解決するならば袋ナット部分を長くするしかありません。構造的に近いのはFoderaの純正のブリッジですが、Foderaはブリッジのサドル自体を長くすることで袋ナットの深さを稼いでいます。

今はHIpshotだけではなくSchallerやGotohなどでもサドル非貫通タイプのブリッジが多くラインナップされている訳なんですが、そういった他社製のブリッジは大抵袋ナット部分がサドルから延長された構造になっています。なのでこのA Styleほどは問題が起きることはないんですね。

・ ・ ・

HIpshot A Styleは非常に取り付け位置に対してシビアなブリッジです。適切にセットすれば問題にならないこともありますが、前述の通り楽器の状態は出荷後、常に変化しうるので将来的にまったく問題が出ないとも言い切れません。


B Styleはネジがサドルを貫通している


余程の理由がなければ同じHipshot製でネジをサドルが貫通しているB Styleを選んだほうが良いと思います。BはAと同じくクイックリリース付きのブリッジで、弦ピッチが固定タイプ。Bはこれらのトラブルが起きる可能性は皆無です。結果的に、古典的でフツーのブリッジを使うのが一番ということでもあるんですが……。


もしあなたが今、偶然このエントリーを読んで、将来楽器をカスタムメイドするようなことがあるならば、ブリッジはB Styleを選びましょう。決して見た目や雰囲気だけでA Styleを選んでメリットはありません。既に正常な機能をしているブリッジから載せ替える、なんてのはもってのほかです。


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