パーペチュアル(Perpetual)は大手弦メーカーのピラストロが2021年に発売した新しいベース弦です。
特徴は芯線がスパイラルコア、なおかつテンションが柔らかいということ。要はあのトマスティック・スピロコアと同じ構造。
スピロコアはピチカート向けの弦で、アルコで弾くと非常に金属的な響きがします。特に高い弦に関しては“うなる”様な響きが強く、個人的にこの音質が苦手でした。
現在はG弦、D弦の2本だけ同社のベルカントを張ることで、バランスを取っていました。
ただベルカントは優しく柔らかい音質である反面、ピチカートで弾いた時のパワー感や音の立ち上がりはスピロコアよりもやや劣ります。良くも悪くも“嫌味がなく、優しくて丸い音”なのです。ベース単体で聴くぶんにはちょうど良いですが、アンサンブルに入るとやや埋もれがちかもしれない、という点がありました。
パーペチュアルはピチカートアルコもバランスの良い弦、と海外では既に評判の良い弦だったのでいずれ張り替える時はこれにしようと決めていました。
もうひとつの候補としては同社のエヴァ・ピラッツィも挙がっていましたが、こちらは実際に張ってある楽器を触った時に「かなりダークな音色だな」と感じました。自分の楽器ヴァルターザンドナーは中低域が濃くダークな音なので出音全体が暗くなりすぎる予感がしていたので、候補から外しました。
さっそく張ってみる
ベルカントと差し替えるためにG弦とD弦を購入しました。
まず手にとってみた印象ですが、柔らかく細い!
比較対象はスピロコアのライトゲージやベルカントですが、それらより更に弦自体が細い感じです。テンションもかなり柔らかい感じで、ベルカントよりも更に柔らかいと思います。
まずはD弦だけ交換してみます。
飾り糸は、テールピース側が黄色です。テールピースがカラフルな感じになりました。
チューニングもすぐに安定しました。このへんは金属コアの弦はありがたいですね。(シンセティック弦やガット弦は安定するまで一週間くらい掛かる)
しばらく使ってみて
ファースト・インプレッションとしてはテンションが柔らかく、反応が早いということ。
スパイラルコアなのでピチカートで弾いたときの右手の反応はスピロコアのライトによく似ています。ドォォーン!とサスティーンが長く少し唸るような余韻です。
音色に関しては新品張りたてだと少し金属的な感じがするのかな、と想像していましたが、予想に反して全然ギラギラしていません。フォルテ気味に弾くと、ノイズが混ざりつつウッディな、ジャズベース的な生々しいピチカートの音になります。立ち上がりも早いです。
弓で弾いても、噂通りスピロコアほど嫌味がありません。綺麗めな響きで、金属的は響きはだいぶ抑えられており、ピチカートと同じく反応が良く、右手の動きをしっかり拾ってくれます。毛の食いつきもスピロコアより良いと感じます。
個人的な結果としてはアルコでもピチカートでもバランスの取れた音色が得られ、ベルカントだとピチカートの音が丸すぎる、という点が改善されてとても好印象です。
自分の楽器(ザンドナー)との組み合わせではほぼネガティブな印象はなく、非常に相性が良い感じです。かなり理想的な弦かもしれません。当面はこの弦でいこう、と思いました。
ちなみに音色自体は、少し使い込んだスピロコアと比べると、金属的というよりは、やや乾いたような質感があるかも。ピラストロやトマスティックといったドイツ圏の弦は少し湿度を感じるというか、派手さの代わりにしっとりした色気がある印象ですが、この弦はむしろちょっとドライな感じ。どちらかというと、アメリカ製のダダリオ・ヘリコアのようなモダンな音色。このあたりは好みが分かれるかも。
ジャズをやっていて『スピロコアしか試したことない!』っていう人は1回パーペチュアルを試してみるといいかもしれません。値段はダダリオと比べるとちょっと高いですが。エレキベースも弾く人にはスピロコアのライトよりオススメ。
フランス在住のベーシスト、エルヴェ・ジャンさんが運営しているStringmatrixというYoutubeチャンネルではこの弦の実演レビューもあるので参考にしたい方はどうぞ。(膨大なコントラバス弦を実際に張ってレビュー動画をアップしている超希少なチャンネル)
この人の楽器はオールドのルブナーなので、同じ西ドイツ製である自分のザンドナーと近い印象です。
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