2019年7月11日木曜日

Groove Tubes The Brick

Groove Tubes the Brick



そう毎日書くこともないと思うので、持っている機材とかを少しずつ紹介しようと思う。

今回紹介するのはGroove Tubesの真空管マイクプリ/D.IであるThe Brickだ。





Groove Tubes(以下GT)は真空管の販売会社で有名なので、名前を知っている人も多いかと思う。実は10年ちょっと前まではアウトボードやマイク、アンプも作っていた。現在はそれらの製造・販売からは撤退して選別品の真空管のみを販売する会社となっている。(model 1Bというマイクも2本持ってますが、それはのちほど紹介したいと思います)

元々は知り合いの空色絵本の佐藤さんがGTのマイクとプリをセットでずっと使っていて、存在自体はだいぶ前から知っていた。当時はあまり真空管機材に興味がなかったので積極的に探そうとは思ってなかった。しかし数年前、某所にてThe Brickが格安価格で2台出ているのを発見。今後は入手する機会はほぼないと思い1台を即購入。以後Recではちょくちょく使うようになった。


肝心の音は、同じ真空管ギアのManleyと比べると非常に地味なキャラクター。ひんやりとした冷たい温度感が加わりつつ、真空管らしい高域の倍音がある。

ちなみに真空管というと一般的には温かい、太いとかwarmな音色を期待されることが多いと思うけど、このthe Brick真逆でcoolな寒色系のサウンドだ。

本来真空管はトランジスタと違い無帰還で使えるほど特性が良いので、素行の良い真空管ギアは倍音が綺麗に伸びるし、むしろ味付けが少なくストレートな印象を受ける。結果的にそれがやや冷たい印象になると思っている。なので“真空管らしい音”を寒色系と形容するのは間違いではないと思うし、音の太さはトランスやフィードバックの掛け方のほうがよっぽど影響していると思う。

話は逸れたけれど、この真空管特有の質感は一時期流行ったARTのような真空管バッファがとりあえず入ってます、といったような安価帯の機材とは全くクオリティーが異なる。

言わずもがな、The Brickはほぼフルチューブのギアだ。“ほぼ”と書いたのは、初段増幅回路がFETソース接地からカスコード接続したサブミニチュア管へグリッド接地というかなり特殊な回路になっているからだ。これは同社の真空管マイクも同様の構造になっているので、GTのサウンドの特徴になっているのかもしれない。

なお、マイク入力や出力用のライントランスも安物ではなくアメリカのJensen製のものが使われている。良質なコアを使った超低歪み率のトランスを採用していることで、真空管固有のキャラクターがしっかりと出るのだと思う。


基本うちではマイクプリというよりはギターやベースのライン録りで使うのがメイン。D.IとしてはTFDI-02もやTube DIrect D.Iも非常に良い音だが、あちらは中低域にコシがある弾力的な音。カラーとしては暖色系だ。The Brickは中域はやや薄くスクープしているがローエンドとハイエンドに存在感がある。ジャリっとした特有のエッジ・倍音感がよく抜けてくるのでアンサンブルの混じりは非常に良い。

もちろんマイクプリとして使うのも良い。できるならば同じくGT純正のチューブマイクと組み合わせてやると、ややドライブしたthe真空管サウンドといった感じの音色になる。プリとして使うと女性ヴォーカルよりも男性ヴォーカルのほうが似合うと思う。Gainは+40dB付近より高く使うと非常に太い質感になる。



塗装が塗り替えてられている


ちなみにこの個体、前のオーナーの遊び心で筐体がオリジナルの白から銀色に塗り替えられている。「ノイマンの電源BOXっぽい色にしたかった」ということらしい。使っているうちにその銀色の塗料が少しずつ剥げ、部分的に元の白い色が見えてきている。

0 件のコメント:

コメントを投稿