![]() |
2007〜2008年製。
Roscoeのベースを所持するのは初めてではなく、これは2本目のLG3005になる。
上京当初、楽器のリペアでお世話になっていたInnerWoodが輸入代理店をやっている縁もあり、2008年にカスタムオーダーをして翌2009年に同じLG3005を1本入手していた。しかし演奏活動から音楽制作に活動のメインを移しつつあった自分は“ベースを弾く”ということから徐々に遠ざかっていき、2011年頃には1本目のLG3005を売却します。
そしてそれから数年の時が経ち、2015年。たまにバンドをやったり、演奏も少しずつ再開していた自分にひとつの話が舞い込んできた。知り合いのベーシストM氏から「Roscoe LG3005の売却を考えている。興味があれば買わないか」との連絡が。
M氏の所有するRoscoeは自分にとって特別なものだった。1本目のRoscoeをカスタムオーダーするとき、試奏して参考にしたのがまさにM氏の所有するLG3005だったのだ。
このLG3005は、バールメープルトップ、スパニッシュシダーバック、パーフェロー指板、カスタム34インチスケール、ゴトー製ブリッジという僕が以前持っていたLG3005とほぼ同じ仕様だった。指板が違うくらい。
これは思い切って行くしかないと思い、購入の意思を伝え譲ってもらった。
Roscoeのベースについて。
日本ではユーザーが少ないゆえに情報も少ないRoscoe。主たる特徴をざっくり書くと・非常に強度のあるラミネートネック
・アメリカでも屈指のクオリティを持つ木材をふんだんに使用
・ハムバッキングらしい力強い音色ながら汎用性が高い
の3点。
Roscoeにはボディシェイプが3種類あり、LG、SKB、Centuryがある。これはLGといって一番小さくスリムなボディシェイプ。ジムハスリップが使っているやつ、と言えば分かりやすい。
ネックスケールは古いベース工房と同じく標準が35インチスケールだけれど、このLGは34インチ。2010年代以降の日本国内向けは代理店のInnerWoodの方針で34インチが多い。
またネックは前述の通り非常に強度があり、順反りしたことがほぼない。メープルをパープルハートという紫色の木材でサンドイッチした3ピース構造。非常に薄く仕上げられている。
補強でグラファイトのバーが入っている恩恵なのか、薄いスリムネックにも関わらず弦を張ってもビクともしない強度です。代理店の木内氏も「ここまで薄く仕上げて強度を出せるのは凄い」と言っていた。
デュアルコイルの太くディープな音色を持ちながらも、ローミッドが良く出ていて、アンサンブルへの対応力が高い音だと感じる。
いわゆる銘木系で多いデュアルコイル搭載のアクティブ楽器は、ミッドに癖が強すぎて、抜けが良くても反面アンサンブルから浮いてしまう場合がある。だけれど、不思議とRoscoeはそういうことがない。太さと存在感がありつつも主張しすぎない。
Bartolini製のデュアルコイルPU + NTMBプリアンプという組み合わせは、MTDやZON、Elrickなどこの手のベースでは大定番の組み合わせなので「みんな同じような音」を想像してしまいがちだけれど、むしろボディやトップ材のキャラクターをよく引き出していると感じる。
例えばアッシュボディにキルトメイプルならば弾けるようなハイミッド・サウンドになるし、アルダーボディならばアルダーらしいディープサウンドになる。トップ材も含めて飾りではなく、楽器の音色にしっかり加味されているのもRoscoeの魅力だと思う。
・ ・ ・ ・ ・
この楽器は2017年の引っ越しに伴い売却してしまった。
後に偶然知ったことだが、次のオーナーは若手の売れっ子ベーシストであることが判明。友達の友達にあたるような人で、そこまで離れている人でもなかった。大事に使っていてくれるようで、SNSでもたまに姿が確認できる。傍を離れても元気でやってほしい。

0 件のコメント:
コメントを投稿