作るのはいいものの「他のアンプの音と比べる必要もあるな…」と思い、古い国産のプリメインアンプを探していたのだけれど、いっそのこと最新のD級アンプ(デジタルアンプ)の音も聴いてみようということになった。
ということで話題の中華製アンプ、FX-AUDIO FX502J-Sを買ってみた。
FX502J-S |
見た目はこんな感じ。思ったよりも全然小さかった。
奥行きは、デノンのCDプレーヤーのリモコンくらいだ。
定価なんと¥7,980のアンプだ。
ちょっと高いゲームソフトを買うくらいの気持ちでアンプが買える時代になった凄いことだと思う。
TPA3250というデジタルICで動くD級アンプで、この大きさながら50W/8Ωの出力がある。
おさらいしておくと、デジタルアンプというのはデジタルといってもA/D変換や量子化をしている訳ではなく、PWM変換を用いた高速スイッチングで信号を増幅するアンプ。一般的なAB級アンプと比べてもパワーに対して電力効率が非常に良い。このアンプの電力源は18V/3Aのスイッチングアダプターで、この僅かな電源でスピーカーをドライブできるというのだから技術の進化を感じる。
さっそくオリジナルのAlpair10Pスピーカーで聴いてみよう。
・ ・ ・ ・ ・
うん、思ったより全然良い!
むしろ、音のディテールはよく見えていて、エネルギーはよく伝わっている。
特に低域の制動力はかなり優れている。
ちょっと高域に刺さるような帯域が残るが、1万円以下のアンプとは思えない音が飛び出してきた。
デジタルアンプ特有のホワイトノイズなども特に気にならなかった。
コストパフォーマンスだけ考えれば、最高に近いアイテムではないだろうか。
とはいっても、流石に先日作った自作の電流帰還アンプと比較をすると差を感じる。
アンプとしてのパワーはだいたい同じくらいだが、自作アンプのほうが全体の空気の温度感や奥行きをしっかりと聴くことができる。デジタルアンプは、情報としては非常に見通しがよく、特にマスクされているゾーンは感じないが、そのぶんディテールのもつ微細な情報はデフォルメされている。全体に薄口であっさりしすぎている。
その反面、自作アンプは歌や楽器の余韻やノイズも心地よく、なおかつ温度感がある。特に中低域を比較すると顕著で、立ち上がりから音の減衰までしっかりと聴き取れるものの、冷たさはない。同じ音量設定でも、こっちのほうが質量感が大きく感じる。
ここはフルディスクリートのAB級アンプとの違いがはっきりと出た。
まとめるとこんな感じ。
良いところ
・安い・小さい
・音も悪くない。チューンナップ次第ではそこそこクラスの音が出る
・スピーカーの制動力 / パワーは十分!
悪いところ
・高域にギラっとした聴き疲れる帯域がある・全体的に薄味で、ハイエンドのような色気はない
・筐体が小さいのでスピーカーターミナルも小さい。バナナプラグ必須
スピーカーターミナルは小さくて非常に使いづらいです。生えだし配線だとショートが怖い間隔でギッチギチに詰めてあるので。まあこれは小さく作るというプロダクトデザイン上仕方のない部分なのかも…。なるべく絶縁タイプのバナナプラグを使いましょう。
ちょっと遊ぶためのアンプが1万円以下で買えるとなれば良いおもちゃではないだろうか。
道具としては、コンシューマーというよりはプロ機っぽい仕様だと思う。
アンプの中身はこんな感じ |
ちなみにこのアンプ、オペアンプ交換が可能であり、また内部のコンデンサなどを交換して音を変えるカスタムが流行っている模様。
(中には、表面実装部品の交換や内部レギュレータをディスクリートに置き換えるようなツワモノもいる)
標準ではTIのNE5532Pが2個乗っていたが、自分はストックしていたナショナルセミコンダクター製のLME49720に変えてみたところ、低域に適度な立体感が出て、音の余韻や繊細な表現の部分がわずかにアップしたように感じた。49720は5532と同じプロオーディオ向けのオペアンプだが、図太く芯のある5532と比べると清涼感があり高域の伸びが綺麗な傾向にある。
ヴォリュームやコンデンサを交換すればまた音に変化はあると思うが、ひとまず今は手を加えずにしばらくこのままの音で鳴らしていってエージングを進めてみる予定だ。
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