2020年7月18日土曜日

クラウン D-75Aをもらう

クラウンのD-75Aというパワーアンプを知り合いから貰いました。


Crown D-75A



元々小さなスタジオのモニターシステムで使っていたようだが、このご時世で閉鎖することになり、それを引き取った形で頂いた。



クラウンのアンプは以前同タイプのD-45も持っていたから特徴はよく知っているので今更という感じだけれど……いわゆるスタジオ向けに作られた業務用パワーアンプだ。1Uサイズでコンパクトだが、中には平べったい専用トランスが入っており、れっきとしたアナログのリニア電源パワーアンプになっている。最大出力は30Wほどだが、モニター用途ならばフルパワーで使うことはまずない。


ちなみに今回引き取ったD-75Aはいくつか改造がされており、

・LR独立ボリュームが廃されワンボリュームに変更
・Rボリュームがあった場所にミュートスイッチの追加

という仕様になっていた。

まあ、貰い物だから何も気にすることはない訳で。



久々にうちのシステムで使ってみると、案外良い。悪くない…といった感じ。


このアンプの特徴を一言で言えば、低音の制動力だ。

とにかく低域がダイナミックで立ち上がりが早く立体的。グイグイと前に出てくる。

これは30W級のアンプとしてはダンピングファクターがかなり高く、出力段にメタルカントランジスタをプッシュプルで採用していることが関係していると思う。経験上2N3055をはじめメタルカンの石は低音の表現力が頭ひとつ抜けている。

全体の音はというと、ハッキリとしているがガチャガチャと荒々しい。

特に高域はよく見えるが粗さがあり、良いツイーターユニットを使っているほどその癖が目立つ。ハイエンドアンプのような滑らかさは皆無で、そこはどうやっても負ける。(プ○ケーブルが一時期絶賛してましたがこれを最高というには無理がある)

メリハリがあり良くも悪くも、業務用パワーアンプといった感じだ。


D-45を持っていた当時は別のリスニングシステムで使っていて、スピーカーもありふれた2wayだった。今はMark Audioのユニットを使った自作スピーカーがメインなので、アンプの印象も変わってくる。あらためて聴き直してみると、粗々しい高域が適度に抑えられてフルレンジのMark Audioとの相性は悪くないのでは…思えてきた。


現状メインの電流帰還アンプと比較すると高域の粗さが気になるものの、低域がよく見えてくるという恩恵はあり、今後メインで使うかどうかは悩みどころだ。

使い分けていってもいいのだけれど、D-75Aは出力端子がバナナやスピコンではなく端子台にケーブルを直接ネジ止めをするタイプなので使う度に繋ぎ変えるとなると、使い勝手がよろしくない。

あと現状、一聴してLRのギャングエラーが気になった。LがRに対して音量が大きい。(+2dBくらいか…)ワンボリューム化したことで可変抵抗のエラーがより顕著になったということだと思う。原則的に音量調整はプリアンプのコントローラーで行うので、ボリュームを廃してダイレクトインにする改造などをやっていく予定だ。


【追記】
回路図を見てみると、終段はNPNの準コンプリメンタリー・プッシュプルだとわかる。
使われているトランジスタは2SC4751というマイナーなもので、富士電機製のようだ。

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