2020年5月19日火曜日

宅録のおすすめコンデンサーマイク

うちの収録ブース内

定期的にあがる質問で「宅録用でオススメのマイクって何かありますか?」というものがあります。

かなりざっくりとした質問だと思いますが「売り物として最低限のクオリティーが確保できつつ、高額ではないマイクは?」という風に自分は解釈しています。いきなり「Manleyがいいよ」といっても、買える人殆どいないと思うしね。

なので現行品かつ、市場価格が10万以下でオススメのマイクを挙げてみたいと思います。

基本的には歌収録の用途とします。

※いわゆる格安系は除外しています。





・Audio-Technica AT4050


筆頭はオーディオテクニカのAT4050です。自分も過去にメインで使っていた時期もありました。女性/男性ヴォーカル、ギターやベース、ドラムまでバランス良く対応できるデュアルダイアフラムのコンデンサーマイクです。

シングルダイアフラムの下位機種AT4040も3万円台の入門用としてはよく名前が上がりますが、音は結構違います。同じカーディオイドで比較してもデュアルのAT4050のほうが音に芯があり、高域も自然にロールオフしています。(ちゃんと聴き比べるとよく分かる)

耐入力音圧も高く、パワフルに歌うスタイルでも繊細なスタイルでも不得手なくキャプチャーできるマイクでこれといった弱点はないですが、トランス入出力の海外製マイクなどと比べてしまうとサウンドキャラクターが非常に淡白であっさりしています。整いすぎているので面白みに欠けると感じる人もいるかもしれません。その点は組み合わせるアウトボードやプリアンプで工夫するといいと思います。

価格帯的には税込み7万円台と、以前より値段は上がっているので初心者には導入しづらいとは思いますが、コストパフォーマンスは依然として高いマイクです。

マイクプリアンプを相応にグレードアップしていく前提なら“卒業”の必要性がないクオリティーのマイクであることは経験から断言します。

メインマイクから外れたとしてもサブや楽器の収録用に使える汎用性の高さも魅力。


・Neumann TLM102


かのノイマンが作っているエントリークラスのコンデンサーマイクです。

TLMシリーズはTransformer Less Microphoneの略で、出力トランスを省略することでコストダウンを図っているシリーズです。(ダイヤの色が赤色だとトランスレス・モデル)そのTLMシリーズでも最も小型で安価なのがこのTLM102で、ポップガード内蔵で取り回し重視を意識したモデルですね。

個人的にこれが出た当初は「あのノイマンがこんな安いマイク作って…」と思ってろくに音は聴かなかったりしたんですが、実際にいくつかのスタジオで試してみるとなかなか悪くないよという印象でした。

もちろんオールドのU87なんかと比べてしまうと明らかに音のスケール感は劣りますが、3万円以下の格安帯のマイクにはない独自の色気があり、またシビランスも滑らかで音質的にはかなり良い線をいっていると思います。

簡易セッティングでサクっと歌を録りたい人には良いマイク。



・Blue Baby Bottle


個性的なルックスが特徴のBlueのマイク。

元々はラトビア製でフラッグシップのBottoleという真空管マイクが有名ですが、安価帯でもSparkBluebirdなどのそこそこ評価の高いマイクを輩出していることもあり、最近がBottleのような上位機種よりもエントリー製品で知名度があると思います。

このBaby Bottleはエントリー製品の中では上位機種になります。割と最近になってマイナーチェンジしたようでモデル名にSLがつきBaby Bottle SLになったようですが基本的な音は変わっていないと思われます。(未確認)

音はオーディオテクニカと違って全帯域に独特の色付けがあります。高域の出方もNeumannのようなキラっとしたものではなく少し低い帯域の倍音が強調されるような感じで音抜けが良いです。

個人的な印象だと低域の拾い方に強い特徴があり、ロー成分を濃くキャプチャーしていると思います。かといって近接効果で膨らむ感じでもなく、女性ヴォーカルなどを収録するときに線が細くなるようなことがないので、ボディ感がある太い音で録れた記憶があります。

Blueというメーカーのサウンドキャラクターが好みならばオススメです。ヴォーカルに関してはかなり相性を選ぶのでよく試聴してみると良いでしょう。このマイクよりもスッキリ目が良ければAT4050のほうが…といった感じ。


・Austrian Audio OC18


元AKGのエンジニアが立ち上げたAustrian Audioの単一指向性コンデンサーマイク。
詳しいレビューはこっちに書いています。

AT4050と同じく癖が少なくマルチに使えるマイク。痛いピークがないナチュラルな音質と、非常にセルフノイズが少ないのでオフ目にマイクを立ててアコースティック楽器の収録でも出番が多いんじゃないかと思います。

価格も2022年初頭の時点でギリギリ10万円以内に収まっており、これからより定評がついてきそうなマイクだと思います。

・ ・ ・ ・ ・


とりあえず4機種挙げました。(※OC18は2022年2月に追記)

この中だとやはりAT4050が最初に薦める場合が多いですね。実際にそれで買った人が周りに3人くらい居て、全員がまだ現役でメインとして使っているようです。

自分だとどうしても歌の収録がメインなので女性ヴォーカルがよく録れるかどうかというのが基準になってしまいますね。ある程度のバランスは期待できるとして。

あと今回はコンデンサーのみですが、ダイナミックマイクも使えるものが沢山ありますよ。

自分も最近の機材を片っ端から試している訳でもないので今はもっと安くて良いものがあるかもしれません。もしそういうのがあればコメント欄にでも書いてください。

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