2020年4月12日日曜日

YAMAHA BB5000の思い出

ナローピッチネタで思い出したのがヤマハのBB5000です。

むしろナローピッチ・ベースを語るならBB5000は避けられない…といっても過言ではないと思う。

なんせ、自分も過去に2本所有していたので。





BB5000は1984年にヤマハが発売した世界で最初に量産されたLow-B仕様の5弦ベースです。

※いわゆるそれまで存在したFenderのBASS V的なHi-C仕様ではなく、Low-B弦を追加して使うのを前提としたものとして。Low-B仕様の楽器自体はAlembicやCarl Thompson、KenSmithやFoderaが個人製作していました。


モデルのベースは当時の最新モデルであるBB3000を土台に24フレット&5弦化したもの。アルダーボディとメープル&マホガニーの5Pラミネイトネックをスルーネックで接合というBB2000より受け継がれた仕様はそのままで、BBシリーズの最上位機種として相応しいものでした。

特徴的なのはそのネックの細さ。、約15mmピッチという超ナローピッチ仕様の5弦ベースなのでナット幅は約44mm、ネックエンドでも66mmほどという非常に細いネックが特徴。

ゆえにプレイアビリティーは非常に高く、4弦ベースとほぼ同じ幅のネックなので左手のフィンガリングはまったくストレスがなく、右手もピッチが狭いものの慣れてしまえば非常に快適です。

またサウンドもかなり良く、パッシブですが非力さは殆ど感じませんでした。BB3000と比べても中低域にコシがあり、アンサンブルの音抜けは良好でした。BB5000用に開発されたPJピックアップの恩恵だったのかもしれません。このPUは出力が高めでかなりパワフルであり、なかなか太い音がするのでした。

ヘッドがかなり重い(通常ペグが5個ついている)のでボディバランスがやや悪いことなど、設計部分に若干未熟な面があったものの、多弦ベース黎明期としては十分にハイクオリティーな楽器でした。

ちなみに数年後BB5000Aという国内販売されなかった輸出仕様のモデルも発売されましたが、アクティブサーキット&アクティブPU搭載、ワイドピッチ用ブリッジ、ワイドネックと趣はオリジナルのBB5000とはやや異なる楽器に変遷しました。


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最初に買った1本目のBB5000を手に入れたのは、今から10年以上前です。

ネットを徘徊していたら偶然格安で地方の楽器屋に売りに出されているのを発見し、すぐに楽器屋に電話。HOLDしてもらい、東京から1時間半くらいかけて買いに行った記憶があります。

このときに買ったのは黒いBB5000でした。


画質が悪いのは当時使っていたガラケーから発掘したため


状態もかなり良く、ハードウェアの曇りやハイフレットに減りがあるポジションがあるものの、ネック・指板は良い状態をキープされており、純正HCも付いてました。値段は今では考えられないくらいの○万円でした。(交通費考えても安かった)

購入した後しばらくはセッションなどでメインで使っていたものの、当時まだ若くいわゆる銘木系ベースに傾倒していた自分は、音が良いものの手持ちの楽器では地味な存在であったBB5000になかなか愛着が沸かず、後のメインであるRoscoeが完成したこともあってすぐに使わなくなってしまいました。

そして、その後MacBookProの購入資金として売却。

今思い返せば、めちゃくちゃ後悔しています。

過去に売ってしまって後悔している楽器あるとすれば唯一この楽器です。




2本目のBB5000



2本目は割と最近です。

昨年にオークションサイト経由で購入。こちらは白いBB5000。

ちなみに元々BB5000はブラックに比べてホワイトの生産本数が少なく、中古市場ではやや値が高くつく傾向にありましたが、10年以上前に黒い方を買った時の倍以上の価格でこの白を買いました。ジャパンオールド楽器の価格高騰おそるべし…。

HC付きで非常に楽器の状態は良く…というのは以前と同じ。

ただ、こちらは純粋にBB5000が欲しい!という動機ではなく、今の自分にはどこまでナローピッチが扱えるか?というのを再確認したかったという理由で入手しました。最近はここまでナローピッチのベースってまず作っていないですし、入手不可能なので。(AlembicのJimmy Johnsonモデルくらいですねたぶん…)


結果的に10年ぶりに再入手したBB5000は、相変わらず弾きやすいと感じました。

15mmの弦ピッチは、狭いと感じつつもソフトタッチなスタイルに移行した今ならば大きな障害になることもなかったです。むしろ5弦にしては極細のネックはプレイアビリティが非常に高く弾きやすさを強く感じました。

そして同時に「こうしたらもっと弾きやすくなるのにな〜」という点も多く発見しました。

もちろん使いやすいことを再確認できたし、そのままBB5000を普通に使っても良かったのですが、目的は果たせたのですぐにこちらも売却。次なる目標の指標となりました。

(つづく)





【余談】

BB5000というモデルは、元々エイブ・ラボリエルが所持していたBB1200をアメリカのカスタム会社ヴァリーアーツで5弦化改造をしていたものをヤマハUSAが確認したことが発端と言われています。その極初期のプロトモデル(シリアルNo.#1〜10)はLAのトップ・ベースプレイヤーであるネーザン・イーストを始め国内外のトップミュージシャンに支給されました。

ネーザン・イーストが度々レコーディングで持ち込む黒いフレットレスのBB5000がそのうちの1本です。シリアルナンバーは#4。Anita Bakerの“Lonley”などでそのうねるサウンドを聴くことができます。(ネーザンは白のBB5000を含めほか数本所持していますがシリアルは不明)

またシリアルナンバー#6は私の師匠でもある齋藤くじら氏が80年代に一時期所有していました。こちらはすでに本人の手にはなく、行方不明。

2 件のコメント:

  1. こんにちは、自分は現在#9のBB5000を所持しております。#1から#10までのBB5000支給ミュージシャンの詳細はわかりますか?もし宜しければ教えていただきたいです。

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  2. 残念ながら他の所有者のことは分かりません。ネーザンがホワイトボディの個体をもう1本持っていたはずです。

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