普段使っているレコードプレーヤー、DENON DP-75が少し前から不調だ。
いわゆるクォーツロックがしっかり働かなくなっている状態。33回転、45回転ともプレーすると最初は安定して回転するものの、数秒経つとリレーがカチっと鳴って解除されてしまい、止まってしまったり回転数が一時的に遅くなったりと、非常に不安定になっていた。
DP-75も80年代初頭の製品なのでもう40年近く前のものだし、メーカーのサポートはとっくの昔に終わっている。オフィシャルの修理はできない。
元々知り合いから譲ってもらったものだけれど、おそらく修理歴もなさそうなので買った当初からそのままの酷使されている状態のはず。せっかくなので、これを機に中身をフルレストアすることにした。もちろん、自力でだ。
さっそくターンテーブル本体部分を分解していく。
まず2段構造になっているプラッターを外す。ターンテーブル本体は木製のキャビネット(土台)に3本の木ネジで固定されている。それを外すことで本体だけ取り出せるようになっている。
本体を逆さまにして底面の金属カバーを外していくと、中央のモーターを取り囲むように3枚の基板と電源トランスが出てくる。(モーター底の練炭みたいなやつはクッション用のスポンジだ)
このうち2枚は回転速度制御基板とモータードライブ基板になっており、電解コンデンサやトランジスタ、制御ICなど劣化しやすい部品が多く載っている。この中で劣化している部品をすべて交換すれば、なんとかなるだろうという希望的観測だ。
結論から言うと、電解コンデンサはすべて新品に交換した。
全部で18個。部品は手元のストックと秋月電子で購入できるものですべて補えた。音声回路ではないのでオーディオ用を使う必要はなかったけれど、ニチコンFGは元々たくさん持っていたので使った。
コンデンサ以外で交換したのは3個のトランジスタと、三端子レギュレータ7805だけだ。
当初はトランジスタもすべて交換する予定だったけれど、足が黒く変色しているようなもの以外はそのままにしておいた。小信号用のトランジスタはよほどアイドリングを大きく流す部分以外はそう壊れるものでもないので。時間かかるしね。
トランジスタで交換したのは2SD468と、2SC1162。特にD468は日立製の古いトランジスタで、他のDENON製のオーディオ製品にも採用されているらしく、真っ先に故障することで悪名高いトランジスタらしい。実際に取り外す前からリード部分が黒く変色して酸化物のようなもので覆われていた。明らかな劣化をしている。
D468はTO-92NLという今では殆ど見なくなったパッケージ(TO-92を縦長にした感じ)だが、中身は一般的な中電力用トランジスタの一種だ。一応セカンドソースとしてユニソニックが同じようなものを生産しているが、わざわざ修理のために2個買うのも面倒だし現行品だからといって耐久性が高いかどうかは分からない。
データシートを見る限り、汎用ドライバー・トランジスタの2SC3421やTTC004Bに置き換えても問題なさそうな感じだったので、大量にストックしているTTC004Bに交換した。劣化していたC1162も同じく交換。
ついでに基板にベタベタになっていたフラックスを洗浄したり、ハンダの盛り直しもやっておく。
これにて、劣化していた部品はすべて交換し終えた。レストア作業完了だ。
分解の逆の手順で基板を固定、再び組みたてたターンテーブルをキャビネットに戻す。電源ケーブルを繋いで、33回転のスイッチを押す…。
回転が止まらない、ブレない…。
問題なく回転が安定している!
無事修理できたようです。
クオーツロックが不安定だったレコードプレーヤー、無事修理完了。これでまたレコードが聴ける。 pic.twitter.com/WQSeyfb3nU
— Shin Sheena (@shinsheena) October 14, 2021
リレーの不具合だったら面倒になるなと思ったけれど、なんとか直ってくれた。
もちろん今後はスイッチやリレーなどの接触部品が壊れることに注意を払わなければいけないが、当面の間はこれで心置きなくレコードが聴けるようになった。
おしまい。
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