ベースの基礎的な反復練習について。
はじめに
指板上の音をすべて覚える、というのは漠然とギターやベースを弾いていると見過ごしている部分だと思います。
例えば楽器がピアノの場合、用意された88個の音の絶対位置はすべて決まっています。それが変わることはありません。また1オクターブ内の鍵盤の配置はすべて同じなので、高い音に行っても低い音に行っても指使いが変わるということもありません。
メロディやコード進行が与えられたときに、順次それに応じた音を出す、ということに関してはピアノは迷うことはありません。音の絶対位置が決まっている楽器は必要な動作が決まっているからです。
そのかわり運指は12のキーで全てで違うので頭で分かっていても指を追従させるのは別途練習しないといけません。
弦楽器のギターやベースはどうでしょうか。ピアノとは逆で、同じ運指で様々なキーを演奏できます。ポジションを横にスライドさせるだけで簡単に移調が可能です。
弦楽器のギターやベースはどうでしょうか。ピアノとは逆で、同じ運指で様々なキーを演奏できます。ポジションを横にスライドさせるだけで簡単に移調が可能です。
しかし、同じ音が鳴るポジションが複数あるため、演奏の内容に応じて最適なポジションを見つけなくてはいけません。まず「これをどのように弾くか」を考えないといけないのです。
そしてメロディを弾く、ということがほぼないベースという楽器にとっては指板上の絶対位置をすべて覚えるという概念が希薄ではないでしょうか。
普段自分がベースを演奏しているとき、何を考えているかをよく思い出してみてください。
よく使うわずかなローポジションの絶対位置と、それに応じたルート毎のブロック(ルートに対して3rd、5th…)として視認していませんか?
こんな感じで、飽くまでもルート音との相対位置で覚えている人が殆どではないでしょうか。
よく使う特定のローポジションの音は把握しているけど、ハイポジションになると全く…という人や、完全に記憶したベースラインはバッキバキに弾けても、インプロ(即興)でソロを弾くということになった途端に迷ってしまう人は多いんじゃないかと思います。それは、楽器の特性上、音の絶対位置を覚えるという訓練がどうしても怠りがちだからです。
ベースラインを弾くのもインプロでソロを弾くのも、目的が違うだけで、ベースという楽器を弾くということに何の変わりもないはずです。そこに線を引かずにスムーズに行き来するには、いかなるプレイにおいても指板上の音をすべて把握していることが重要になってきます。
なので今回の練習内容は
・指板上の音を絶対位置で覚える
・演奏中の視認範囲(応用の範囲)を広げる
・ついでにスケールも覚える
この3つを同時にやってみようという内容です。
これが4弦ベースの指板における音の配置です。(開放弦は省略)
もっとフレットの数が多い楽器もあると思いますが、まずは基本の20フレットぶんです。最低音がE、最高音はその2オクターブ上のE♭(D#)になります。(21フレットで最高音がE、22でF、24でGになります)
なので、ベースの最大音域はおおむね3オクターブということは覚えておきましょう。
ただこの指板図だけ漠然と見ても、情報量が多すぎて頭に入ってこないと思います。
なので視認範囲を絞り、スケールを弾きながら覚えていきます。
まずCメジャースケールを弾いてみましょう。
いわゆる普通のドレミファソラシドですね。
ちなみにスケール練習をするときは、必ず2オクターブ以上の範囲で弾いてください。
これがとても重要です。
1オクターブだけスラスラっと弾いてもポジションの横移動がないため、応用が効かないのと、指板の音を覚えられないので。
2オクターブ弾く場合は、1ブロック(4フレットの範囲を1ブロックとします)で弾ききることはできないので、弦の移動とポジション移動をうまく使い分ける必要があります。
この練習ではひとつのスケールにつき4パターンの運指を使い、特定のポジションに偏ることなく指板の全域を使って弾いていきます。
Cメジャースケールを2オクターブ弾く運指の一例を上げます。
(人指し指=1、中指=2、薬指=3、小指=4)
これを第一パターンとします。
このパターンは、A弦の3フレットからスタートする運指で、まず1オクターブ目までは普通にG弦まで弦を縦移動して駆け上がっていきます。その後はG弦を上がっていって2オクターブ目まで弾いていくというパターンです。コントラバスの教則本などでよくある運指です。
ポイントはG弦のAからBに移動するときは人差し指をスライドアップします。(赤い矢印)そうすることで、2オクターブ目の運指が最小限のポジション移動で済むからです。
ベースラインを弾くのもインプロでソロを弾くのも、目的が違うだけで、ベースという楽器を弾くということに何の変わりもないはずです。そこに線を引かずにスムーズに行き来するには、いかなるプレイにおいても指板上の音をすべて把握していることが重要になってきます。
なので今回の練習内容は
・指板上の音を絶対位置で覚える
・演奏中の視認範囲(応用の範囲)を広げる
・ついでにスケールも覚える
この3つを同時にやってみようという内容です。
4弦ベースにおける指板上の音
これが4弦ベースの指板における音の配置です。(開放弦は省略)
もっとフレットの数が多い楽器もあると思いますが、まずは基本の20フレットぶんです。最低音がE、最高音はその2オクターブ上のE♭(D#)になります。(21フレットで最高音がE、22でF、24でGになります)
なので、ベースの最大音域はおおむね3オクターブということは覚えておきましょう。
ただこの指板図だけ漠然と見ても、情報量が多すぎて頭に入ってこないと思います。
なので視認範囲を絞り、スケールを弾きながら覚えていきます。
実際の練習
いわゆる普通のドレミファソラシドですね。
ちなみにスケール練習をするときは、必ず2オクターブ以上の範囲で弾いてください。
これがとても重要です。
1オクターブだけスラスラっと弾いてもポジションの横移動がないため、応用が効かないのと、指板の音を覚えられないので。
2オクターブ弾く場合は、1ブロック(4フレットの範囲を1ブロックとします)で弾ききることはできないので、弦の移動とポジション移動をうまく使い分ける必要があります。
この練習ではひとつのスケールにつき4パターンの運指を使い、特定のポジションに偏ることなく指板の全域を使って弾いていきます。
Cメジャースケールを2オクターブ弾く運指の一例を上げます。
(人指し指=1、中指=2、薬指=3、小指=4)
これを第一パターンとします。
このパターンは、A弦の3フレットからスタートする運指で、まず1オクターブ目までは普通にG弦まで弦を縦移動して駆け上がっていきます。その後はG弦を上がっていって2オクターブ目まで弾いていくというパターンです。コントラバスの教則本などでよくある運指です。
ポイントはG弦のAからBに移動するときは人差し指をスライドアップします。(赤い矢印)そうすることで、2オクターブ目の運指が最小限のポジション移動で済むからです。
弾いている最中は、すべての音が一切途切れないように、限界までテヌートで弾いてください。
第二パターンは同じA弦3フレットからのスタートですが、すぐにD弦に上がらず、A弦を横移動してからD弦、G弦と上がっていくパターンです。さきほどと同じようにD弦のAからBに移動するときは人差し指のスライドアップです。
第三パターンはE弦8フレットからスタートする運指です。A弦スタートよりハイフレットから始まるのでストレッチは少なく、運指は比較的楽です。既に気づいた人もいると思いますが、メジャースケール内の運指はすべて4フレットの範囲でパターン化できます。
第四パターンはE弦8フレットからスタートし、E弦12フレットのEからフリジアンスケールを弾くような形になります。E弦15フレットのGの音を使いますが、E弦で使う実用的な範囲はこの15フレットくらいまでです。それより高いポジションは手がよほど大きくない限りは押弦し辛いので、覚えなくても差し支えないと思います。(めったに使わないからね…)
以上で4パターンの運指を紹介しましたが、まずはひたすらこれを上昇、下降で練習し、途中でパターンを組み替えてもスムーズに弾けるようにしましょう。
指板上での視覚的な絶対位置を覚えつつ、音程の間隔(全全半全全全半)を指に染み込ませます。
そしてこれらが一通り覚えられたら、CからCまでではなく、指板上で使える音はすべて使うようにしましょう。20フレットのベースの場合なら、開放弦のEから、G弦19フレットのDまで…といったようにです。
4弦開放のEからスタートする運指の一例です。Eから始まるので、スケール的にはEのフリジアンスケールのようになりますが、飽くまでも、Cメジャーの意識のまま音域を拡張するイメージで練習してください。
これは第三パターン準拠の運指ですが、どの弾き方でもスライドするのは6度から7度(AからB)だということに気づきましたか。これらのパターンでスケールを弾く場合、オクターブやキーが変わっても基本的な指使いは同じなんです。
ここまでの内容は1-2週間くらい続けていると効果が出てきます。スケールに併せて「ドラミファソ…」と歌いながら弾くのも非常に効果的です。(実音と音名、ポジションがつながりやすいので)
さて、これで音域的には指板上でCメジャーに入っているほぼすべての音を覚えました。
Cメジャーをマスターしたら別のキーに移調する訳ですが、そのまま半音上のC#メジャーに移調するのではなく、例えば♭をひとつずつ増やしていくパターン(F、B♭、E♭、A♭…)や#を増やしていくパターン(G、D、A、E)でキーを変えながら練習していきます。
つまり、五度圏で調号を増やしていくようにキーを変えて練習していきます。そうするとこのキーはこの音とこの音が♭…というように、そのキー音における音の配置が把握しやすいからです。(譜面も読みやすくなります)
例えばつづけてFメジャースケールを練習しようとする場合、既にCメジャースケールの音はすべて覚えているので、「Bの音を♭するだけ…」と頭に入れておくだけです。
恐らくこの時点で、以前よりスムーズに音の配置が理解できるようになっていると思います。最初にCメジャースケールを完璧に覚える、というのは指板上でピアノでいう白鍵の位置を確定させるという作業だったんですね。一見ギターもベースも自由のようで、実際は基準となるポイントを確定させてからのほうが記憶しやすいんです。
ここで察しが良い人は気づいたと思いますが、Cメジャースケールの音をすべて覚えたということは、Cメジャーに内包されている7つのモードスケールの音の配置もすべて覚えたということでもあります。
指使いをまったく変えずに、FからスタートすればFリディアンスケール、Aから始めればAエオリアン(ナチュラルマイナー)スケールといったようにです。この練習をしただけで、既に7つのスケールを自由に弾くことができるようになった訳です。変えるのは意識だけ。
これはCメジャーでの場合ですが、これを12のキーすべてで弾けるようになれば、指板上のすべての音を覚えたうえで、12のメジャー/マイナー・スケールとモードスケールがすべて弾けるようになるということでもあります。
頑張って12キーで上記の練習をしてみましょう。そのうえでオルタードスケールやコンディミニッシュスケール、h.p.5など非ダイアトニック的な響きのスケールを順次覚えていけば大抵の場面で対応できます。
・ ・ ・ ・ ・
この基礎練習方法は普段は自分がやりつつ、ベースのレッスンの初回でもよく指導するものです。
大事なのは丸覚えではなく、記憶と感覚を結びつけることです。
指板上の音をどう使うか、というのは先にすべての音を覚えていないとなかなか難しいものです。なんとなく漠然と弾いていた人はこの機会に指板の音はすべて覚えてしまいましょう。この方法ならついでにスケールもどんどん覚えていけます。
ベースはギターよりは弦の数も少ないし、それに比べたらたぶん楽なので!笑
(2024.2改定)
ベースレッスンの問い合わせはこちらより。(オンライン対応しました)
第二パターンは同じA弦3フレットからのスタートですが、すぐにD弦に上がらず、A弦を横移動してからD弦、G弦と上がっていくパターンです。さきほどと同じようにD弦のAからBに移動するときは人差し指のスライドアップです。
第三パターンはE弦8フレットからスタートする運指です。A弦スタートよりハイフレットから始まるのでストレッチは少なく、運指は比較的楽です。既に気づいた人もいると思いますが、メジャースケール内の運指はすべて4フレットの範囲でパターン化できます。
第四パターンはE弦8フレットからスタートし、E弦12フレットのEからフリジアンスケールを弾くような形になります。E弦15フレットのGの音を使いますが、E弦で使う実用的な範囲はこの15フレットくらいまでです。それより高いポジションは手がよほど大きくない限りは押弦し辛いので、覚えなくても差し支えないと思います。(めったに使わないからね…)
以上で4パターンの運指を紹介しましたが、まずはひたすらこれを上昇、下降で練習し、途中でパターンを組み替えてもスムーズに弾けるようにしましょう。
指板上での視覚的な絶対位置を覚えつつ、音程の間隔(全全半全全全半)を指に染み込ませます。
そしてこれらが一通り覚えられたら、CからCまでではなく、指板上で使える音はすべて使うようにしましょう。20フレットのベースの場合なら、開放弦のEから、G弦19フレットのDまで…といったようにです。
4弦開放のEからスタートする運指の一例です。Eから始まるので、スケール的にはEのフリジアンスケールのようになりますが、飽くまでも、Cメジャーの意識のまま音域を拡張するイメージで練習してください。
これは第三パターン準拠の運指ですが、どの弾き方でもスライドするのは6度から7度(AからB)だということに気づきましたか。これらのパターンでスケールを弾く場合、オクターブやキーが変わっても基本的な指使いは同じなんです。
ここまでの内容は1-2週間くらい続けていると効果が出てきます。スケールに併せて「ドラミファソ…」と歌いながら弾くのも非常に効果的です。(実音と音名、ポジションがつながりやすいので)
応用した発展型
Cメジャーをマスターしたら別のキーに移調する訳ですが、そのまま半音上のC#メジャーに移調するのではなく、例えば♭をひとつずつ増やしていくパターン(F、B♭、E♭、A♭…)や#を増やしていくパターン(G、D、A、E)でキーを変えながら練習していきます。
つまり、五度圏で調号を増やしていくようにキーを変えて練習していきます。そうするとこのキーはこの音とこの音が♭…というように、そのキー音における音の配置が把握しやすいからです。(譜面も読みやすくなります)
例えばつづけてFメジャースケールを練習しようとする場合、既にCメジャースケールの音はすべて覚えているので、「Bの音を♭するだけ…」と頭に入れておくだけです。
恐らくこの時点で、以前よりスムーズに音の配置が理解できるようになっていると思います。最初にCメジャースケールを完璧に覚える、というのは指板上でピアノでいう白鍵の位置を確定させるという作業だったんですね。一見ギターもベースも自由のようで、実際は基準となるポイントを確定させてからのほうが記憶しやすいんです。
ここで察しが良い人は気づいたと思いますが、Cメジャースケールの音をすべて覚えたということは、Cメジャーに内包されている7つのモードスケールの音の配置もすべて覚えたということでもあります。
指使いをまったく変えずに、FからスタートすればFリディアンスケール、Aから始めればAエオリアン(ナチュラルマイナー)スケールといったようにです。この練習をしただけで、既に7つのスケールを自由に弾くことができるようになった訳です。変えるのは意識だけ。
これはCメジャーでの場合ですが、これを12のキーすべてで弾けるようになれば、指板上のすべての音を覚えたうえで、12のメジャー/マイナー・スケールとモードスケールがすべて弾けるようになるということでもあります。
頑張って12キーで上記の練習をしてみましょう。そのうえでオルタードスケールやコンディミニッシュスケール、h.p.5など非ダイアトニック的な響きのスケールを順次覚えていけば大抵の場面で対応できます。
・ ・ ・ ・ ・
この基礎練習方法は普段は自分がやりつつ、ベースのレッスンの初回でもよく指導するものです。
大事なのは丸覚えではなく、記憶と感覚を結びつけることです。
指板上の音をどう使うか、というのは先にすべての音を覚えていないとなかなか難しいものです。なんとなく漠然と弾いていた人はこの機会に指板の音はすべて覚えてしまいましょう。この方法ならついでにスケールもどんどん覚えていけます。
ベースはギターよりは弦の数も少ないし、それに比べたらたぶん楽なので!笑
(2024.2改定)
ベースレッスンの問い合わせはこちらより。(オンライン対応しました)
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