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2012年11月26日月曜日

マイクプリ考

今更ですがマイクプリについて。

先日の“浮遊”の歌録りのときは、1曲目と2曲目とで違うマイクプリを使いました。
1曲目はARTのTube MP Project Series(インピーダンスの変更ができるモデル)
2曲目は借りてきたChandler LimitedのGermanium Preamp。

まあ勿論グレードが全然違う機材なので当然といえば当然なんだけど、
同じマイク(AT4040)でもサウンドが別物。

結論から言うと、録りの時点での印象はそんなに変わらなくても、
あとでミックスするときにエフェクトの掛かりとかが全然違う。

ARTのマイクプリはトランス出しするような古い設計のマイクを使う為に、
1年くらい前に買ったものなんだけれど、
こいつは確かに音が丸くなる代わりに、若干目の荒さみたいなのも出ます。
割とガツンとしたオケに混ぜるのはそこそこいいんだけど、
回りがクリーンな音で揃えてくる感じのオケだと音の荒さが目立ってしまう感じ。

それに対し、スタジオクラスの機材のGermanium Preampなんですが、
最初、歌を録っているときにモニターしていた印象だと
「なんか思ってたより薄い感じの音だなあ…割と普通だなあ…」
っていう感じで格別グレードの高い音とは思わなかったんですが、
これがもうミックスしてみると、違いが断然!!

具体的には、EQの効きがまるで違ってきます。
Germanium Preampで録ったテイクは、ローカットして薄くコンプをかけて、
そのあとUAD-2のEQで軽くととのえただけでもう音が出来上がってしまう。
このときの手応えが「あっ!これはどこかのCDで聴いたことある感じ…」というか。

今回はありあわせのマイクで録ってしまったけれど、
これをもっと良いマイクを使ったらと考えると…じゅるり。

ちなみにGermanium Preampは、普通のマイクプリとは少々増幅構造が違い、
インプットとアウトプットのゲインでサウンドを作り上げるのではなく
インプットゲインとフィードバック(負帰還)を利用してサウンドを作ります。

これがまた奥が深くて、要はEQを使わずとも倍音を引っぱり上げたり、
ローエンドを強調したり、強くドライブしたサウンドが作れるという構造。
なので歌以外の素材に掛けるときなどはかなり色んなサウンドが作れそう。
(歌のときはインプットとフィードバックが5:5の状態がベストでした)

そして今回よく実感したのは、自分の好きな音というのは、
真空管の歪みではなくトランジスタの歪みなんだなあということ。

もちろんARTのマイクプリだとグレードの違いがあり比較はできないんですが、
以前Universal AudioやManleyなどの、グレードの高い真空管プリアンプを
使ったときの印象は「ハイエンドが伸びつつも飽和して、明るくサラっとした感じ」
だったんですね。
これは世間で言われている真空管は暖かく丸い音という印象とは違いました。

逆にソリッドステートでもICではなくディスクリートのオペアンプで作られた
プリアンプだと、大きく入力したときの歪みがとても心地いい。
この実体験によって、なぜNeveなどが絶賛されるのか少しだけ分かりました。

はやく新しいマイクと良いプリアンプを揃えねばと思いました…。

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