はじめに
所有しているヴィンテージ機材のひとつにNeve3415/Aがある。
Neve3415/Aは70年代、イギリスの放送局BBCに納品されたコンソールのライン・モジュールで、中には入出力トランス(マリンエア製)とプリアンプが2基搭載されている。Neve1272に近いと言われるが、時代的には少し後のモジュールで、アンプモジュールはAB級プッシュプルとなり、出力トランスもPCBマウントのやや小型のものが使われている。フルディスクリートで構成されヴィンテージNeveのなかでは後期の製品にあたる。
これを現在は1Uケースに2chラッキングし、2chマイクプリアンプとして運用している。
が、稼働率があまり高いとはいえない状態。うちのスタジオでレコーディングをするとなると、ほぼヴォーカルなどがメインの録音なので、ダイナミックレンジの広いマイクプリアンプをファースト・チョイスにすることが多い。Neveはその特性上ヘッドルームは狭いので、最近は音色にキャラクターを付与する機材、というポジションに収まっている。
現状はイギリス狂いの友達に貸しっぱなしという状態。もうちょっと活用方法はないか、と思い始めた。
そこでふと思い立ったのが、元がコンソールのラインモジュールなので、マイクプリではなくラインレベルで信号を通す専用のサミングミキサーとして運用するのはどうか、というアイデア。これならばマイク録音だけにかぎらず『音色にキャラクターを付ける』という役割に特化して使いやすくなる。
しかし、完全にサミングミキサー化してまうとマイクレベルで信号を受ける時に不便が生じるし、ゲインが不足する可能性もある。
今まで通りマイクプリとして運用しつつ、同時にラインレベル用のサミングミキサーとしても活用できるモデファイを考えてみることにした。